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第十一話 簪の中の二枚目の紙

last update publish date: 2026-08-22 09:13:41

 明霞姉様の簪は、洗衣局の梁の隙間に隠してあった。

 梁、と言っても立派なものではない。

 湿気で少し黒ずみ、雨の日になると木の奥から黴の匂いがする。下級宮女たちが寝起きする部屋の天井など、後宮の華やかな宮殿とは比べものにならない。

 でも、だからこそ安全だった。

 玉蘭妃様の白玉宮では、香炉の底まで調べられる。

 蓮貴妃様の宮では、布の皺ひとつ見逃されない。

 皇后宮では、死者の遺品さえ罪の証拠に変えられる。

 けれど洗衣局の梁の隙間など、誰も覗こうとしない。

 汚い場所。

 湿った場所。

 下の者の匂いがする場所。

 後宮で見下される場所ほど、時には大切なものを隠すのに向いている。

「鈴花、本当にそこに隠してたの?」

 蘭々が、私の下で小声を上げた。

 私は棚に足をかけ、梁へ手を伸ばしていた。

「うん」

「落ちないでよ。あんた、運動得意そうに見えて全然得意じゃないんだから」

「得意そうに見えたことある?」

「ない」

「じゃあ言わないで」

「心配してるんだってば」

 蘭々は下で両手を広げている。

 どうやら私が落ちたら受け止めるつもりらし
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